かつて、戦乱の無法の影を暗躍した 忍者集団、 妖谷忍軍(あやかしだに にんぐん)。 「変化の法」と呼ばれる秘術を操り、妖魔・物の怪に 等しい力を持って戦国を戦い抜いた彼らは、 世が泰平に従容して後、自らの力を封じ、秘法の 守護者となって谷間の小さな集落へとその身を潜めた。 世に混乱を呼ぶであろう「変化の法」を、秘匿する為である。 幾代もの忍の犠牲によって築かれた安寧秩序を破壊してはならぬ… その強い願いを至上の掟とし、頭領を頂上に、秘法を守護する 「妖谷十人衆」を中心として、彼らはひっそりと老い、子を育み、 世代を重ねていった。 しかし…ある時、この緩やかに老衰していく里の実情を憂慮する者が現れる。 忍の真の価値は戦乱の中にのみあると確信するその男… 朧部幻宗斎(おぼろべ げんしゅうさい)。 …「変化の法」を体得する、十人衆の長である。 長年に渡り、忍術の極意を極めるべく心血を注いできた彼は、 ついにある決断をする。 里抜けである。 「変化の法」を流出させる事は、里にとって最大の禁忌…しかし 幻宗斎は、同じく秘法を極めた十人衆全員と結託し、抜け忍と烙印を 押されようとも、己が信ずる忍としての本懐を果たさんとしたのである。 夜に重く沈む闇を引き裂き、駆け抜ける幻宗斎達。 目指す先は、遥か遠くに瞬く、煌々たる街の灯。 だが、彼らを追う一陣の涼風があった。 清廉たる白絹に、闇に溶け込む艶やかな髪。 朧な月光を跳ねたる双眸には、強い意志の光。 それは…妖谷忍軍頭領、夜刀(やと)の姿であった。 時は現代。 禁を解かれた忍者達の妖術・秘術が乱れ飛ぶ大乱戦が、 今ここに幕を開けようとしていた。 |